徳山駅前広場イルミネーション

昨年末、周南市の冬の風物詩「周南冬のツリーまつり」の一環として、JR徳山駅の駅前広場一帯で実施されたクリスマスイルミネーションのディレクションを担当しました。


【事のはじまり】

新しくなったJR徳山駅で「周南冬のツリーまつり」に連動したイルミネーションを行う計画は一昨年からありました。

その時にはプラン作成と設備利用についての検討のみを行い、最終的には実現しなかったのですが、2019年の夏に差し掛かると、徳山商工会議所からあらためてJR徳山駅でのイルミネーションの企画立案のご依頼をいただき、今回は新しく整備される駅前広場の完成のお祝いとして大規模なイルミネーションを実施するという方向で検討が始まりました。


【企画立案】

企画立案にあたり、従来の「周南冬のツリーまつり」とは趣が異なる新しいイルミネーションを実現したいと考え、全国各地で先進的なイルミネーションの施工実績がある宇部市のブルーウェーブテクノロジーズ株式会社の坂本社長をご紹介いただき、企画立案にご参加いただきました。

企画の検討に入ると、クリスマスまでに新しいイルミネーションを開発するには、夏のスタートではタイミング遅すぎるという意見が出てきたので、新しいものを開発するのではなくブルーウェーブテクノロジーズ社がこれまでに実施したイルミネーションの中から徳山駅前広場の設備や形状を活かせるものを選び、それをベースに企画の検討を始めました。

まず、今回のイルミネーションのハイライトとして、駅前広場の中心にある水盤(噴水)をステージとして捉え、水盤上に等間隔に並べた無数のろうそく状のフルカラーLEDをひとつずつ制御することで、全体がひとつのディスプレイとして映像を映し出し、音楽と組み合わせて光のショーを上演できるような構成を検討しました。

また、水盤内の通路を市民が自由に通行できるようにすることで、ただ見るだけではなくイルミネーションの中に入り込んでいけるような没入感のある構成を心掛けました。

駅の改札を出て駅前広場に入り水盤内の通路を通り過ぎるとバス乗り場へのゲートがあります。このゲートには、3×4mの巨大なLEDスクリーン(マトリックスボード)を設置し、このイルミネーションのメインスポンサーであるボートレース徳山様のイベントの告知と光のショーに連動したアニメーションを投影できるようにしました。

さらに、駅から水盤を通ってゲートまでのひとつのイルミネーションの構成を中心として、周辺にあるシェルターの柱や梁、植栽などにゴールドのLEDを巻き付けることで、駅前広場全体がイルミネーションで包み込まれるような構成にしました。


【施工】

クリスマスシーズン前のタイトなスケジュールの中、11月の後半からブルーウェーブテクノロジーズ社のスタッフが駅前広場に入り、まず水盤内の施工から作業を開始しました。会場となる駅前広場は、市民が歩行する市道という面もあり、往来の安全や景観の保全などの観点から、電線の配線についての制限が多く、使用可能なコンセントから最短経路での配線を心がける必要がありましたが、一部、路面上に配線を行わざるをえない箇所があり、通行規制や配線のカバーなどで安全に通行できるように施工を行いました。

また、水盤内では、LEDと配線が水中に沈む構成になったため、漏電等の問題が起きないように配線の安全対策を徹底しました。

ゲートに設置したマトリックスボードは、ゴム製のネットのような形状の土台にLEDが埋め込まれていますが、非常に軽くて風も通す構造になっているため、仮設のパブリックディスプレイとしては非常に安全性が高く、設置コストの面でも利点があったと思います。

今回のイルミネーションでは、主に、(1)水盤上、(2)シェルター巻き付け、(3)マトリックスボードの3ヶ所への映像送出を同期させる構成になっていてそれぞれが物理的に離れた位置にあったためできるだけ無線での通信を検討しましたが、様々な問題により有線での通信に変更することとなり、目立たない場所にLANケーブルを30m以上配線して有線での映像送出を行いました。

光のショーは、クリスマスシーズンに合う4曲を選定し、その曲に合わせて現地で夜通しでプログラムの打ち込みを行い、本公開までに4つの素晴らしい光のショーが完成しました。


【点灯開始】

 

2019年の「周南冬のツリーまつり」は、11月13日の点灯開始に合わせて、駅前広場のイルミネーションも部分点灯し、12月7日より本公開を行い、光のショーが上演が開始されました。ショーは、30分間隔で1日に2回ずつ全部で8回自動で上演する運用となりました。

このイルミネーションは年明けすぐの撤去を予定しておりましたが、成人の日まで延長して展示することになり、帰省客と新成人にも楽しんでいただくことができたと思います。

今回設置したイルミネーション器具や設備については、撤去後も保管・管理し、次年度以降も再利用できるようにすることで、毎年規模が拡大できるような運用を想定しています。


【さいごに】

今回、「周南冬のツリーまつり」に関わらせていただき、このイベントが今でも市内外の多くの人々から認知されていて、会場にはたくさんの市民が、特に若者の姿が多く見受けられ、ポテンシャルのあるイベントであると再認識させられるとともに、ここに参加して新しいイルミネーションを皆様に見ていただくことができたことを大変うれしく思います。